コンセプト

人知れず眠っている こころの触角が
わたしたちの中を  世界の中を
游いでいて

あなたのからだのギザギザと
ぼくのからだのギザギザを
丁寧に なぞって 確かめる
遠い 遠い 記憶を彷徨って
その瞼の その脳みその
その身体の延長に
ひらひらと揺らめく 霞める ものがある

ひとつでも ようやく
そのひとひらに 指先が触れたなら
途端に
宇宙が割れて 溢れだし ぼくらが
惹かれ合った すべてが わかる

だけど
わかったあと ぼくらは どこへ向かえばイイノ?

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いまはたったひとりのからだ
古代神話の中では 人間たるもの 背中合わせにふたりがひとつに繋がっていたと言われています

性には男×男 女×女 男×女 という組み合わせの三種類
太陽の子 地球の子 月の子

その姿かたちのことは哲学者プラトンの著書『饗宴』のなかで
アリストパネスという喜劇作家によって語られ
その名もアンドロギュヌスと名付けられていました

そんなふたりでひとつの姿だったので
ふたつの頭で考えたり 何かを同時にこなすこともできました

そんな人間たちの能力をオリュンポスの神々は恐れるようになり 
全知全能の神ゼウスは 鋭い稲妻の刃で 人間たちを真ん中から引き裂いてしまったのです

そしてゼウスは雨雲を集め 嵐を吹き起こし 海を獣のごとく狂わせ 
引き裂かれた人間たちを 世界中にばらばらに流してしまったと いいます

その引き裂かれた傷は神々によって縫い合わされ そしてお腹で糸を結ばれ おへそになりました
それは人間たちにおごりを忘れさせないためのしるしとして からだに残されたのです

切り離され 流されるまえのこと
人間たちは互いに見つめ合い そして抱き合い
もとに戻ろうとしました
それが愛の行為のはじまりでした
最初の交わりでした

こんな風にして それ以降人間たちは
そのかつての片割れをもとめて恋をするようになったと いわれています
その神話に出会ったのは 
まぎれもなくジョン・キャメロン・ミッチェルの映画『Hedwig and the angry inch』でしたが
そのなかで主人公ヘドウィグは こんな風にうたうのです

“人生は片割れ探しの旅” …

“人間はまたひとつに戻れるの?”